こんにちは。
看護学生が母性の領域実習に出て、よく悩む話を紹介します。
この記事を読んだら、実習を進めるむずかしさの理由がわかります。
目次
母性看護実習では問題解決志向は合わない
問題場面
母性実習に出て、受け持ち母児が決まった、
座学で学んだようにアセスメントして看護問題を抽出、
看護目標を挙げ、看護計画を立てて臨んだけど・・・
朝の計画発表で指導者から
『看護目標があってないよ』
『優先順位はそれ?』
『今、この褥婦さんに一番必要なことは何?』
こんな質問をなげかけられる、というのはよくある話です。
成人看護学やや老年看護学など、母性以外の領域別実習において、看護診断のパラダイムが問題解決志向です。
対象が病人である前提で、看護問題を抽出します。
また、生命を脅かす事がない心理・社会的な微細な事象も、
看護問題として抽出します。
そのため、看護学生は、科目の授業の中でリスク内在型看護診断とか、問題解決型診断の思考過程を学んでいますね。
そして、たいていの看護学生は、座学で『NANDA』あるいは『カルペニート』を学びます。
『NANNDA』は、実在型看護診断で、母性の看護診断としては、母性の看護ケアの根拠になる現在進行形の診断名が少ないです。
『看護診断ハンドブック』(リンダ・J・カルペニート著)は、Ⅲ部構成で、NANDAを取り入れつつ
ウェルネス型看護診断と共同問題を伴う医学的問題の診断も行います。
母性看護の領域実習にあっているのは『マタニティー診断』
ウェルネス型の『マタニティー診断』が(日本助産診断・実践研究会 編著)は、妊娠・分娩・産褥各期 と新生児期にある母児を対象としています。
妊娠出産したことによる生活の変化や親役割達成への準備などの対象者の取り組みを支援するところに特性があります。
マタニティーサイクル各期に異常を起こした場合は
ウェルネス型のマタニティ診断に基づく支援に加えて、 問題焦点型や 、リスク型の看護診断によるケアも行うことになります。
マタニティ診断類型は次の通りです。
1)経過診断 (妊娠期と分娩期に関しては、助産師学生は診断必須、看護学生は見学実習一部実施であることが多いです。)
妊娠期
①妊娠の確定/②妊娠時期・分娩予定日/③妊娠経過/④母体の状態/⑤胎児の状態/⑥胎児附属物の状態
分娩期
①分娩開始/②分娩時期/③分娩経過/④母児の状態/⑤胎児の状態/⑥胎児附属物の状態/⑦分娩予測
産褥期
①産褥日数 産褥〇日である(診断名)
②産褥経過
③母体の状態
*②③合わせて9つの診断名(退行性変化、進行性変化、全身状態に関すること)
新生児期
①日齢
②出生直後の状態
③早期新生児の状態
④新生児の経過
2)健康生活診断
妊娠期、分娩期、産褥期、とも4類型
①基本的生活行動
②精神・心理的生活行動
③社会的生活行動
④ 出産育児行動
新生児期 2類型
①養護
②環境
看護実習生の戸惑い
さて、分娩と出産は病気ではない(もちろん正常からの逸脱の可能性はある)けれども、
学生は、”なんか問題が潜んでいる”、”なんか問題を抽出しよう”ってなりますよね・・・。
そして、産科病棟に配属されているのは、ほとんどが助産師で、
看護学生の指導にあたるのも助産師であることが多いですから、
これでは、ちぐはぐになってしまうのは無理もないことなんです。
というわけで、看護学生は、臨地での母性看護学実習において、
“看護過程の展開ができない”
“実習記録の内容が母児の現状をとらえていない” という、ナゾの問題に直面します。
問題解決志向をやめてウェルネス思考を実装して臨地実習にいく
ではどうしたらよいか。
母性実習の事前学習においては、
『マタニティー診断ガイドブック』を用いて看護展開できるように、
じゅうぶん演習しておくことです。
問題解決志向をやめてウェルネス思考を実装して臨地実習にいく、
これしかない。
次回は事例を用いて、紹介していきますね。