看護実習生の安全のための基本的な構え
✔実習の環境とか、人 になじむための努力をする
実習が始まるとき、実習指導者さんから病院や病棟のオリエンテーションで案内してくださいます。メモを取りながら聞くことになると思いますが、後で自分でも何がどこにあるか確認すると、環境になじみやすくなります。
実習に関係する人たちの お名前は、早いうちに覚えて、職種名や肩書でお呼びするよりも、お名前でお呼びする方が良い関係を築きやすいですし、指導も受けやすくなります。
実習グループのメンバーは、学内であまり接しない人と組むことになったりすることもありますが、困ったときは助け合ったり、学びの刺激になったりするので、良い関係性を築くよう努めるといいですよ。
✔受け持ち患者さんに関心を寄せる
これは、安全な実習のための第1歩なんです。看護学生は医療従事者とはいえないけど、患者さんにとっては、自分の話に耳を傾けてくれる看護学生を快く受け入れてくださいます。患者さんやそのご家族との関係が円滑になれば、看護ケアの実施を依頼したとき、承諾を得られやすいですね。クレームもつきにくくなりますね。
✔提供する技術に関しては、事前学習を行う
インシデントって、看護学生や新人ナースの場合、知識不足によるものがほとんどなんですね。
また、患者さんに 質の高いケア を提供するために、自己研鑽を積むことで、自分をモニタリングする力も高まります。なぜなら関連する知識が増えて、注意深くケアを実施することができるからです。
(個人の責任において自己研鑽を積むという態度は、学生時代に習得すべき能力といわれています)
✔実習指導者さんの助言・助力を受ける
患者さんにケアを提供するときは、指導者さんの助言・助力を得なくてはなりません。そして実習指導者は、臨地に不慣れな学生の、学習支援者として配置されていますから、遠慮なく助力を得られるように申し出ましょう。
✔ 報告・連絡・相談
医療現場は、複数の人々が協働しています。実習生はチームの一員です。チーム間のコミュニケーションエラーを防ぐために、報告・連絡・相談は欠かせません。
✔自分自身の心と体のケアができる
ちゃんと食べて、ちゃんと寝るのがやっぱり大事です。自分のことに気を掛けてあげてくださいね。
「やばっ。」看護実習で学生がもしもの対応に困ったら
✔むむ?ないなぁ・・・記録用紙をコピー機に置き忘れたのかも
コピー台への置き忘れ、気を付けたいものですね。これを防ぐには、コピー終了後の、「用紙の置き忘れなし! ヨシ!」と声を出す、 指さし呼称(点検作業)を習慣にするのがおすすめです。
✔指導看護師さんに、受け持ち患者さんに投薬されているお薬のことを質問されたんだけど・・・
わからないことを訊くのは学生の特権だから、一旦調べてみて、まだわからないことが残るようなら質問すればいいですよ。「○○薬です、どんな副反応かは、今ちょっとわからないので調べて報告します」と、自分の理解の状況や取り組む姿勢を伝えるようにすると、円滑に実習が進みます。
✔患者の転倒転落に学生が関与していた、針刺しによる感染リスク、患者さんの私物や施設の備品などを破損してしまった、実習記録を紛失した・・・
これらは看護師養成所からの報告によくあるものです。痛みを伴った時はちゃんと謝って、インシデント、アクシデントは速やかに指導看護師さん、引率教員に報告(義務)しましょう。
速やかに報告されると速やかに対応できます。また、人はエラーを起こす、なぜ起こったのか注意深く振り返ることが、今後の実習の安全な実習のために重要ですよね。
✔針刺し事故や血液汚染事故があった・・・
原因機材に血液汚染がないのなら、指導看護師さんに報告、傷の処置を受けましょう。
原因機材に血液汚染がある場合は、直ちに傷口から血液を絞り出し、流水で洗いましょう。つぎに指導看護師さんに報告しましょう。
そのあと、学生は、外来受診、血液検査(HBs抗原、HBs抗体、HBC抗体、HIV抗体)を受け、事故報告書を書きます。患者さんの感染症に関する情報(1年以内の結果は有効)を入手します。
そして、各医療機関の対応マニュアルに従います。HIV陽性血液の針刺し事故の場合、2時間以内の予防薬の内服が必要です。
✔実習記録をなくしてしまった・・・
個人情報保護に関する事故になります。個人を特定しない書き方など、規定された書き方を守りましょう。各医療機関の対応マニュアルに従います。
✔施設の備品を破損してしまった・・・
気づいたら速やかに指導者に報告し、次の業務に支障のないようにする。各施設の規則にのっとって報告書を作成する。また、損害賠償保険を利用して損害を賠償できるよう、引率教員は手配してくれます。
✔自信のないケアや処置を実施するか迷う、実習の場で断りにくい・・・
このような場合は、「自分は学習の途上であり一人での実施が難しい」と、はっきり断ることが、責任のある対応です。
たいへんだ!患者さんが急変した・・・?
✔この徴候って、急変・・・?
どんな徴候があるのか、事前に復習しておきましょう。それは いつでもどこでも 起こりうることです。
いつもと違う苦しそうな表情や姿勢、皮膚の紅潮や蒼白、冷汗など、患者さんの外見から急変を察知することがあります。
呼びかけに反応しない、呂律が回らない、視線が合わない、周囲に無関心、もうろうとしている など、「意識」の異常に気づいたらすぐ報告しましょう。
呼吸が浅い、努力様呼吸、24回/分以上の頻呼吸、呼吸回数が少ない、下顎呼吸、呼吸の異音など呼吸の様子に変化が見られたらすぐに報告しましょう。モニター上の、動脈血酸素飽和度の急激な低下に注意を払い、すぐ報告しましょう。
いずれも、ベッドサイドからなら、ナースコールを押し、詰所の看護師さんたちをすぐに呼ぶことができます。ベッドサイドではないときでも、病院スタッフに助けを求めましょう。
まとめ
基本的な心構え、インシデントなどもしもの時の対応、起こりうる患者の急変時の徴候など、事前に知っておくことで、看護学生が安全に実習できるな、って思うことを書きました。臨地での学びが、順調にすすみますよう、皆様がんばってくださいね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。