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母性看護実習の事前学習#1|妊娠期まとめノート

赤ちゃんの記録は妊婦健康診査受診の記録から始まる
赤ちゃんの記録は妊婦健康診査受診の記録から始まる
妊娠期の実習って、看護学生は何をするんですか?

外来での妊婦健康診査や保健指導などの見学、一部実施ってところかな。

正常経過における妊娠期の看護の基本を復習して臨むと、健診の流れがよくわかるよ。

てなわけで、母性看護学|#1妊娠期|正常編|まとめノートだよ。

本記事の内容

  • 対象が妊娠期:看護師の役割3つ
  • 妊娠と妊娠期間の定義
  • 胎児の発育
  • 胎児付属物
  • 妊娠による母体の変化
  • 妊婦健康診査で行われる諸検査

1⃣看護師の役割を3つ

・妊娠に伴う母体の変化と胎児の成長を評価する
・妊婦の健康維持のセルフケア、子育て準備を支える健康教育を行う
・母、父、きょうだい、祖母がそれぞれの「妊娠」への適応を支える

2⃣定義

妊娠とは
受精卵の着床に始まり胎芽または胎児および付属物の排出をもって終了するまでの状態

妊娠期間の定義
妊娠初期 : 妊娠13週6日まで
妊娠中期 : 妊娠14週0日~27週6日まで
妊娠末期 : 妊娠28週以降
正常妊娠持続日数 : 280 日
早産   : 妊娠22週~37週未満までの出産
正期産  : 妊娠37週~42週未満までの出産
過期産  : 妊娠42週以降の出産

分娩予定日の求め方
ネーゲレ概算法:妊娠月+9(または-3)、日+7

例)最終月経初日 が 2月3日ならば、分娩予定日は11月10日

3⃣胎児の発育

胎児と呼ぶのは、妊娠10週以降
胎児の器官形成期(奇形発生の臨界期)は、妊娠12週未満

① 推定体重 4週ごと暗記しておくと推定しやすい
【22週】300g前後、 【24週】650g前後、 【28週】1200g前後、 【32週】1800g前後、【36週】2500g前後、 【40週】3100g前後

② 中枢神経系:早い時期に脳・脊髄形成、眼球運動の日内変動、末期には睡眠サイクル
③ 循環器系:胎児血行の成立は12週 心臓、血管、胎盤形成
胎盤 ⇒ 1本の臍帯静脈 ⇒ アランチウス静脈管 ⇒ 卵円孔 ⇒ ボタロー管
2本の臍帯動脈⇒ 胎盤
✔4から7週で心拍動開始
✔9から12週のFHR(fetal heart rate)=170、12週以降FHR=140前後

④ 呼吸系:28週以降に 肺サーファクタント産生開始
⑤ 消化器系:8から11週に 羊水嚥下開始
⑥ 泌尿器系:8週頃 羊水腔に尿排出、妊娠末期には700~900mlの尿排出、32~35週で 外性器完成.

⑦ 感覚器系:24週 外耳道 と 鼓膜形成⇒ 聞こえる、 28週  音 に反応する

⑧胎児の行動:8週からエコー上胎児の全身運動、しゃっくりなど
(母親の胎動初覚は 初産婦20週 経産婦16から18週)

⑨ 胎児計測:エコーにて計測
BPD、APTD、TTD、AC、FL これらの計測値から推定体重がわかる

4⃣胎児付属物

① 卵膜: 羊水を分泌する
母体側から順に   ✔脱落膜( 子宮内膜が変化したもの )、
✔絨毛膜( 受精卵にあった絨毛が変化したもの )、
✔羊膜( 外胚葉、中胚葉から分化し形成された膜 )

② 胎盤:ホルモン産生、物質輸送

③ 臍帯:7~14回捻転、臍帯内の血管は ワルトン膠質 に包まれている。
正期産期で約55㎝

④ 羊水: 胎児の 運動 を自由にする
✔胎児と羊膜、あるいは胎児の各部相互の 癒着 を防ぐ
✔外力が加わるのを防ぐ 胎児の運動が母体に及ぼす影響を緩和する
✔胎児の 体温 の恒常性を維持する

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5⃣妊娠による母体の変化

①子宮
✔子宮狭部(解剖学的内子宮口と組織学的内子宮口)は 進展
非妊娠時 1 ㎝ ⇒ 末期 10 ㎝、
✔解剖学的内子宮口は生理的収縮輪に、組織学的内子宮口は産科学的内子宮口になる
②頸管粘液 : 濃縮し粘液栓を形成、細菌の侵入を防ぐ
③膣 : リビド着色、分泌物増える、デーデルライン膣桿菌により PH= 4 前後

⑤ ホルモンの変化
着床部では、栄養膜細胞 から ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を分泌
⇒胎盤ができると、プロゲステロンとエストロゲンは胎盤から分泌され、hCGは低下する
また、胎盤からはヒト胎盤性ラクトーゲン(インスリン抵抗性を高める)、プロラクチンも分泌される

⑥ 乳房 : 乳汁産生準備
⑦ 皮膚・筋肉 : 色素沈着、腹直筋離開
⑧ 消化器系: 初期に悪心・嘔吐(つわり)、便秘傾向

⑨ 栄養・代謝
✔基礎代謝 :15~30%増し
✔水代謝  :抗利尿ホルモン分泌の( 浸透圧閾値 )の低下と口渇感閾値の低下で
水分摂取が促され水分貯留傾向(生理的変化)
✔蛋白代謝 :窒素バランス増加、胎盤にて胎児へアミノ酸を輸送
✔脂質代謝 :妊娠中期から末期まで母体の脂肪蓄積 胎盤にて胎児への必須脂肪酸を輸送
✔糖代謝  :インスリン感受性低下、食後の血糖値は高めを維持。
⇒ 胎児に( 糖 )を供給するため
インスリンと拮抗するホルモンは増えているため 妊娠糖尿病 を発症しやすい
hPL、プロゲステロン、エストロゲン、コーチゾールなど。

⑨循環器系: 循環血液量増加のピークは、32週~36週(40~50%増し)
✔仰臥位低血圧症候群
仰臥位とると 増大した妊娠子宮が下大静脈を圧迫し下半身からの静脈還流が阻害され、血圧が低下、それに伴う症状(悪心、嘔吐、めまい、呼吸困難、不安感)が現れる

⑩ 呼吸器系 : 酸素消費量が増える、胸式呼吸(横隔膜挙上のため)
⑪ 腎・泌尿器系
✔腎血漿流量と糸球体ろ過値増加
⇒ 尿管・腎盂の拡張、膀胱内圧上昇、尿が滞留しやすい
⇒ 尿路感染しやすい

⑫ 血液凝固系 : 凝固系は亢進、線溶系は抑制傾向のため 肺塞栓症、深部静脈血栓症 を起こしやすい

⑬ 体重増加 20%増加、妊娠前BMI を基準に妊娠期間中の 推奨体重 を決める
妊娠後半は週当たり 500g以内 が正常

⑭筋・骨系 :妊娠子宮の増大のため重心が前に移動するので、妊婦は肩を後方にひいてしまう
つまり腰椎の生理的前弯の増強が起こる(腰痛の原因)
妊娠末期は リラキシン の影響で 立位・歩行 が不安定になる

⑮体温の変化 : 高めだった体温は妊娠16週ころからもとにもどる

6⃣妊婦健康診査で行われる諸検査

①妊娠初期(~13W6D)      〈初診〉問診、身長・体重測定、血圧測定、検尿一般、妊娠反応、内診、膣分泌物検査、クラミジア検査、至急膣部細胞診、乳房健診など     〈再診〉体重測定、血圧測定、検尿一般、浮腫の有無程度、計測診(腹囲・子宮底長)、タイ児心音聴取、胎児の胎位・胎向、全身の観察<血液検査>
・血液一般
 (血算,生化学,凝固系)
・血液型(ABO、Rh)
・間接クームス
・不規則抗体
・血糖
・感染症
 梅毒、風疹、HIV、
 HBs抗原・抗体、
 HCV抗体、
 トキソプラズマ、
 サイトメガロウイルス、
 HTLV-1抗体:30週までに
婦人合併症のエコー>   5~6週:子宮・卵巣の形態、婦人科関連<胎児エコー>

 

胎嚢(GS)・胎児心拍(FHB)の確認

頭殿長(CRL)計測⇒予定日の確認と修正

胎児の異常・絨毛膜下血腫の有無の確認

②妊娠中期(14W0D ~27W6D )50グラム糖負荷試験〈産科合併症のエコー〉    切迫早産スクリーニング、   子宮頸管長の評価 <胎児エコー>       胎児評価、形態異常スクリーニング、羊水量評価、胎盤位置評価、・胎位胎勢
③妊娠末期(28週0日~)        --------------------------------      (36週0日~)血算、生化学、凝固系        --------------------------------       血算、生化学、凝固系 〈胎児胎盤機能とWell-being検査〉

 

NST、羊水量、BPS、胎位確認

*Biophysical prufile scoring(BPS)の観察項目は、ノンストレステスト、胎児呼吸用運動、大きい胎動、胎児筋緊張、羊水量 で、8~10点を 正常と判断、6点は 胎児期機能不全疑い、 4点 は 機能不全を強く疑う、0~2点は 胎児機能不全はほぼ確実

いかがでしたか、妊娠期の実習で何を学ぶのかイメージできましたか。かなりコンパクトにまとめたので詳しくは読者さんの学校指定のテキストで深掘りしてくださいね。お役に立てると嬉しいですん。

それではこの辺で。また訪問してくださいね。

かなてぃ

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かなてぃ

いのちを育む者ひと、傷んだ人をケアするひとを愛してやまない かなてぃ です。それを学ぶ人、働く人を絶対的に応援してます!関心事は、女性こころとからだの健康。女性ホルモンの エストロゲンは 50歳で 消えていくわ。同時に仕事も足腰つらくなっていくし。それでも楽しく看護師していたいね。皆様がんばりましょう。

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